ヤーズフレックスのジェネリック「ドロエチフレックス」とは?
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これまで先発品しかなかった「ヤーズフレックス配合錠」に、初めてジェネリック医薬品(オーソライズドジェネリック/AG)が登場しました。正式な製品名は「ドロエチフレックス配合錠『バイエル』」(末尾の「バイエル」は商品名ではなく、製造販売元を示す屋号です。以下、本稿では「ドロエチフレックス」と表記します)。2026年8月17日に販売が開始された新しいお薬です。
ドロエチフレックスは、ヤーズフレックスと原薬(有効成分)・添加剤・製造方法が同一のオーソライズドジェネリック(AG)です。効能・効果や飲み方も同じで、お薬代の負担を抑えられる選択肢です。「ジェネリックに変えると、成分や飲み方も変わるのでは」と気になる方にも、検討していただきやすいお薬です。
この記事では、次のことを分かりやすく説明します。
ドロエチフレックスとはどんなお薬か
ヤーズフレックスとの違い
名前がよく似ている「ドロエチ配合錠」との違い
費用の目安
他のピルからの切り替えについて
ドロエチフレックスの基本情報
ドロエチフレックスは、ヤーズフレックス配合錠のオーソライズドジェネリック(AG)です。
項目 | 内容 |
製品名 | ドロエチフレックス配合錠「バイエル」 |
薬効分類 | 子宮内膜症に伴う疼痛改善剤・月経困難症治療剤 |
製造販売元 | バイエル ライフサイエンス株式会社 |
発売元 | 久光製薬株式会社 |
発売日 | 2026年8月17日 |
オーソライズドジェネリック(AG)とは
オーソライズドジェネリック(AG)とは、先発医薬品メーカーから許諾を受けて製造・販売されるジェネリック医薬品です。ドロエチフレックスは、原薬(有効成分)だけでなく、添加剤や製造方法も先発品のヤーズフレックスと同一です。
一般的なジェネリック医薬品では、有効成分は先発品と同じでも、添加剤や製造方法が異なることがあります。ドロエチフレックスは、原薬・添加剤・製造方法がヤーズフレックスと同一であることが特徴です。
ヤーズフレックスとの違い|成分や飲み方は同じで、お薬代を抑えられます
添付文書の内容を比較すると、次のようになります。
項目 | ヤーズフレックス(先発品) | ドロエチフレックス(AG) |
有効成分 | ドロスピレノン3mg/エチニルエストラジオール0.020mg | 同一 |
原薬・添加剤・製造方法 | ― | 同一 |
錠剤の見た目 | 淡赤色フィルムコーティング錠 | 同一 |
効能・効果 | 子宮内膜症に伴う疼痛の改善/月経困難症/調節卵巣刺激の開始時期の調整 | 同一 |
用法・用量 | 子宮内膜症に伴う疼痛:フレキシブル投与(最長120日連続+4日休薬) 月経困難症:フレキシブル投与 または 24日服用+4日休薬 | 同一 |
薬剤料(3割負担・28日分の目安) | 約2,250円 | 約830円 |
製造販売元 | バイエル薬品株式会社 | バイエル ライフサイエンス株式会社(発売元:久光製薬株式会社) |
つまり、原薬(有効成分)とその量、添加剤、効能・効果、飲み方はヤーズフレックスと同じです。一方、お薬の名称や製造販売元などが異なり、お薬代は抑えられます。3割負担の場合、28日分の薬価ベースの薬剤料の目安は、ヤーズフレックスの約2,250円に対し、ドロエチフレックスは約830円です(診察料・処方箋料・調剤料などは別途かかります)。ヤーズフレックスからの切り替えを希望される場合は、診察の際にお気軽にご相談ください。
「ドロエチ」と「ドロエチフレックス」は別のお薬です
「ドロエチ配合錠」と「ドロエチフレックス配合錠」は名前がよく似ていますが、別のお薬です。もとになった先発品や効能・効果、飲み方などが異なります。
項目 | ドロエチ配合錠 | ドロエチフレックス配合錠 |
もとになった先発品 | ヤーズ配合錠 | ヤーズフレックス配合錠 |
効能・効果 | 月経困難症 | 子宮内膜症に伴う疼痛の改善/月経困難症/調節卵巣刺激の開始時期の調整 |
シートの中身 | 28錠のうち4錠はプラセボ錠(有効成分を含まない白色の錠剤) | 28錠すべてが有効成分を含む錠剤(淡赤色) |
飲み方 | 決まった順に28日間連続服用し、29日目から次の周期へ | 子宮内膜症に伴う疼痛:フレキシブル投与(最長120日連続+4日休薬) 月経困難症:フレキシブル投与 または 24日服用+4日休薬 |
現在ドロエチを服用している方は、「フレックス」という名前が付いていても同じお薬ではないことを覚えておきましょう。切り替える場合は飲み方も変わるため、医師の指示に従って服用してください。
ドロエチフレックス配合錠が向いている方
ヤーズフレックス・ドロエチフレックスのフレキシブル投与では、24日目までは連続して服用し、25日目以降に3日間連続で出血がみられた場合、または120日間の連続服用に達した場合に4日間休薬します。休薬に伴う出血の回数を減らせるため、次のようなお悩みがある方では治療の選択肢となることがあります。なお、月経困難症では「24日間服用+4日間休薬」の28日周期の方法も承認されています。
生理痛がつらい
生理のたびに体調を崩してしまう
できるだけ生理の回数を減らしたい
子宮内膜症による痛みがある
効能・効果としては、次の3つが認められています。
子宮内膜症に伴う疼痛の改善
月経困難症
生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
なお、ドロエチフレックスは、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みなどの治療に用いられるお薬で、避妊は承認されている効能・効果に含まれていません。電子添文でも、避妊目的で使用しないことが明記されています。
避妊目的には使用しません
ドロエチフレックスに含まれる「ドロスピレノン」と「エチニルエストラジオール」には排卵を抑える作用がありますが、日本人における避妊目的での有効性・安全性は確認されておらず、避妊目的で使用するお薬ではありません。
そのため、治療中であっても「避妊できている」とは考えず、避妊を希望される場合は別の方法について医師にご相談ください。なお、初めて服用する際に月経第1日目より開始が遅れた場合は、最初の1週間はホルモン剤以外の避妊法を用いることが電子添文で定められています。
現在服用中のお薬からの切り替えについて
すでに何らかのピルを服用中の方からも、切り替えのご相談をいただきます。代表的なケースは以下の通りです。
ヤーズフレックス(先発品)からの切り替え
ヤーズフレックスと原薬(有効成分)・添加剤・製造方法、効能・効果、飲み方が同じで、お薬代の負担を抑えられるため、費用面を理由に切り替えを希望される方にとって新しい選択肢となります。「ヤーズフレックスに興味はあったけれど、お薬代が高くて選びにくかった」という方にとっても、検討しやすい価格になっています。
ドロエチ配合錠からの切り替え
「生理痛は改善したけれど、休薬期間に痛みや頭痛が出る」「もう少し月経の回数を減らしたい」といった場合には、休薬に伴う出血の回数を減らせる可能性があるドロエチフレックスのフレキシブル投与への切り替えが選択肢になります。
その他の低用量ピル・超低用量ピルを服用中の方も検討できます
ヤーズフレックス以外の低用量ピル・超低用量ピルを服用している方も、治療の目的や症状、ご希望によってはドロエチフレックスへの変更を検討できる場合があります。たとえば、次のようなお悩みがある方はご相談ください。
今の薬で生理痛や経血量の改善が十分でない
休薬期間中の体調不良(頭痛・下腹部痛など)に悩んでいる
生理の回数をもっと減らしたい
子宮内膜症の診断を受けている
切り替えの方法やタイミングは、現在服用しているお薬や服用状況によって異なります。診察で確認したうえでご案内しますので、まずはご相談ください。
服用にあたって知っておいていただきたいこと
血栓症について
ドロエチフレックスを安心して服用していただくために、知っておいていただきたい重要な副作用の一つが「血栓症」です。頻度は高くありませんが、まれに生命に関わる経過をたどることがあります。
次のような症状があらわれた場合は、すぐに服用を中止し、救急医療機関を受診してください。
ふくらはぎの急な痛み・腫れ
突然の息切れ
胸の痛み
激しい頭痛
手足に力が入らない
ろれつが回らない
急に見えにくくなる
年齢や喫煙の状況、肥満、片頭痛の有無、血栓症の既往や家族歴、これまでにかかった病気などによっては、ドロエチフレックスを服用できない場合があります。
安全に服用していただくため、診察時に健康状態やこれまでにかかった病気、喫煙状況などを確認します。気になることがあれば、遠慮なくお伝えください。
その他の副作用
比較的よくみられる副作用として、頭痛、不正出血、吐き気などがあります。特に不正出血は、服用を続けている間にみられることがあります。
そのほか、乳房の痛みや不快感、便秘、下痢、めまい、むくみ、だるさなどがあらわれることがあります。
また、体重については「体重が増えた」「体重が減った」のどちらも報告されており、服用すると必ず太る、または痩せるというものではありません。
費用について
ドロエチフレックスは、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みなど、承認されている適応で使用する場合は保険診療の対象となります。薬価は1錠98.80円で、3割負担の場合、28日分の薬剤料の目安は約830円です(診察料・処方箋料・調剤料などは別途かかります)。月経不順や肌荒れ、避妊などの目的では保険診療の適応にはなりません。
処方までの流れ
問診・診察
服用できるかの確認:これまでにかかった病気や服用中のお薬の確認、血圧測定など
処方:院外処方箋の発行
フォローアップ:服用開始後の経過確認。月経困難症・子宮内膜症に伴う疼痛で継続して服用する場合は、定期的な診察・検査(超音波検査や採血など)を行います
よくある質問
Q. ドロエチフレックスとヤーズフレックスは何が違いますか?
有効成分・添加剤・製造方法・効能・効果・飲み方は同じです。お薬の名称や製造販売元などが異なり、ドロエチフレックスではお薬代の負担を抑えることができます。
Q. 「ドロエチ」と「ドロエチフレックス」は同じお薬ですか?
いいえ、別のお薬です。もとになった先発品(ヤーズ配合錠/ヤーズフレックス配合錠)が異なり、効能・効果やシートの中身(プラセボ錠の有無)、飲み方も違います。
Q. お薬代はどのくらい安くなりますか?
3割負担の場合、28日分の薬価ベースの薬剤料の目安で、ヤーズフレックスの約2,250円から、ドロエチフレックスは約830円と、半額以下になります。
Q. 避妊のために保険で処方してもらえますか?
ドロエチフレックスの承認されている効能・効果に避妊は含まれていないため、避妊を目的として保険診療で処方することはできません。避妊をご希望の場合は、適した方法について診察でご相談ください。
Q. 最長120日間連続で飲んでも大丈夫ですか?
はい。ドロエチフレックスのフレキシブル投与では、医師の指示のもと、最長120日間まで連続して服用できます。ただし、24日目までは出血の有無にかかわらず服用し、25日目以降に3日間連続で出血がみられた場合、または120日間の連続服用に達した場合には4日間休薬します。休薬に伴う出血の回数を減らし、月経困難症による痛みや負担を軽減することが期待できます。なお、月経困難症では24日間服用して4日間休薬する28日周期の方法も選択できます。
Q. 今ヤーズフレックスやドロエチ、他のピルを飲んでいますが切り替えられますか?
症状やご希望、現在の服用状況によって、ドロエチフレックスへの切り替えを検討いただけます。どの薬から切り替える場合も、診察で状況を確認したうえで適切な移行方法を判断しますので、まずはご相談ください。
Q. 副作用が心配です。どんな症状に注意すればいいですか?
ドロエチフレックスでは、頭痛、不正出血、吐き気などの副作用がみられることがあります。
特に注意が必要なのが、頻度は高くありませんが、生命に関わることもある「血栓症」です。ふくらはぎの急な痛みや腫れ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、手足に力が入らない、ろれつが回らない、急に見えにくくなるなどの症状があらわれた場合は、すぐに服用を中止し、救急医療機関を受診してください。
そのほか、服用中に気になる症状がある場合は、自己判断で服用を続けたり中止したりせず、医師にご相談ください。
参考文献
ドロエチフレックス配合錠「バイエル」電子添文(2026年8月改訂・第2版).医薬品医療機器総合機構(PMDA)/久光製薬株式会社
ドロエチフレックス配合錠「バイエル」インタビューフォーム(2026年8月改訂・第2版).久光製薬株式会社
ドロエチフレックス配合錠「バイエル」製品情報(2026年8月7日更新).久光製薬株式会社
ドロエチ®配合錠「バイエル」・ドロエチフレックス®配合錠「バイエル」新発売のお知らせ(2026年8月17日).久光製薬株式会社/バイエル薬品株式会社
執筆者兼監修者プロフィール
広尾レディース 恵比寿本院
院長 宗田 聡
医学博士
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医・指導医
日本医師会認定産業医
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)上級会員(Fellow)
FMF(Fetal Medicine Foundation)認定妊娠初期超音波検査者


