ミニピル・スリンダ錠
血栓症リスクに配慮した、
エストロゲンを含まない避妊の選択肢
スリンダ錠は、日本で初めて承認された、黄体ホルモン(プロゲスチン)のみを含む経口避妊薬(POP:Progestin-Only Pill)です。
日本で承認されている効能・効果は「避妊」です。月経困難症やPMS(月経前症候群)の治療薬としては承認されていません。
低用量ピル(エストロゲン・プロゲスチン配合剤)に含まれるエストロゲンを含まないため、エストロゲン含有製剤に比べて静脈血栓塞栓症のリスクは低いと考えられています。
これまでエストロゲンを含むピルを使用しにくかった方にとって、新しい避妊の選択肢となるお薬です。

このようなお悩みはありませんか?
●避妊したい
●低用量ピルが服用できない
●ピルの血栓症のリスクが不安
●40代以降の避妊方法を相談したい
●授乳中の避妊方法を相談したい
●避妊とあわせ て、月経に伴う症状についても相談したい
ミニピル・スリンダ錠とは
血栓症のリスクが気になる方や、授乳中の方、40代以降の方にとっても、健康状態に応じて選択肢となり得る新しいミニピルです。
従来の低用量ピルは高い避妊効果がある一方で、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が含まれているため、体質や年齢、生活習慣によっては服用が難しい場合がありました。
スリンダ錠は、黄体ホルモン(ドロスピレノン)4mgのみを有効成分とする、日本で初めて承認されたプロゲスチン単独の経口避妊薬(POP)です。
これまでエストロゲンを含む低用量ピルの服用が難しかった方や、血栓症リスクを考慮する必要がある方、授乳中の方などにとって、新たな選択肢となるお薬です。
ミニピル・スリンダ錠の特徴
1. エストロゲンを含まない「プロゲスチン単剤」
スリンダ錠の最大の特徴は、エストロゲンを含まないことです。
エストロゲンを含む低用量ピルでは、まれではありますが静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが増加することが知られています。スリンダ錠はエストロゲンを含まないため、VTEリスクはエストロゲン含有製剤より低いと考えられています。国内第III相試験および24周期までの継続試験ではVTE関連有害事象は認められませんでしたが、症例数には限りがあり、リスクがゼロと断定できるわけではありません。
そのため、健康状態を確認したうえで、以下のような方でも服用を検討できる場合があります。
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血栓症のリスクを考慮する必要があり、エストロゲン含有製剤を使用しにくい方
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35歳以上で喫煙しているなど、エストロゲン含有の低用量ピルではリスク評価が特に重要となる方
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授乳中の方(開始時期は産後の時期や授乳状況を含め、医師と相談して判断します)
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40代以降の方(年齢だけでなく、既往歴や合併症を確認して判断します)
2. 国内臨床試験で高い避妊効果が確認されています
「ホルモンが1種類だけで避妊効果は十分なの?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
スリンダ錠は、主に排卵を抑える作用によって避妊効果を示します。国内第III相試験では高い避妊効果が確認されています。
医学的データ:パール指数
避妊効果を示す指標「パール指数(100女性年あたりの妊娠数)」において、国内第III相試験では、3319曝露周期中に妊娠は1例で、全般パール指数は0.39(95%信頼区間 0.01~2.18)でした。また、24周期までの継続データでは全般パール指数0.34(95%信頼区間 0.01~1.87)でした。ただし、これらは臨床試験下の成績であり、飲み忘れなどを含む日常診療での避妊効果をそのまま示す数値ではありません。
3. 飲み忘れに比較的対応しやすい「24時間ルール」
従来型の一部のミニピルでは、服用時刻のずれに対する許容範囲が短いことが課題でした。ドロスピレノン4mgのPOPでは、国際的な指針で予定時刻から24時間未満を「遅れ(late)」、24時間以上を「飲み忘れ(missed)」として扱います。日本の電子添文では、実薬を飲み忘れて翌日までに気づいた場合は直ちに1錠を服用し、その日の錠剤も通常どおり服用するよう定められています。ただし、2日以上連続して飲み忘れた場合には追加の避妊法が必要となるため、「24時間以内なら避妊効果が必ず保たれる」という意味ではありません。
スリンダ錠・低用量ピル・ジエノゲストの違い
どのお薬にもメリット・デメリットがあります。
症状や年齢、ライフステージ、避妊の希望、既往歴などによって適したお薬は異なります。
当院では、お一人おひとりの症状やご希望に合わせて治療をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
スリンダ錠(ミニピル) | 低用量ピル | ジエノゲスト | |
主な成分 | プロゲスチン(ドロスピレノン4mg)のみ | エストロゲン+プロゲスチン | プロゲスチン(ジエノゲスト)のみ |
避妊効果 | ◎(避妊が承認効能) | OC:◎ LEP:避妊目的では処方しない | ×(避妊目的では使用しない) |
生理痛の改善 | △(国内では治療適応なし。限定的な改善報告あり) | ○(LEP) | ○(0.5mg:月経困難症) |
PMSの改善 | △(国内適応なし。十分なエビデンスは未確立) | △~○(製剤により。DRSP/EE配合剤などにエビデンス) | △(標準治療ではない) |
子宮内膜症の治療 | △(国内適応なし。限定的な報告) | ○(製剤・使用目的による) | ◎(1mg) |
子宮腺筋症の治療 | △(国内適応なし) | △(症状に応じて使用されることがある) | ◎(1mg:疼痛改善) |
血栓症のリスク | エストロゲン含有製剤より低いと考えられる | あり(まれだが重篤化することがある) | 低い |
授乳中の服用 | 使用を検討可(母乳移行あり。個別判断) | 産後時期・授乳状況により個別判断 | 授乳しないことが望ましい |
40代以降の服用 | ○(既往歴・合併症を確認して判断) | 慎重なリスク評価が必要 | ○(適応があれば個別判断) |
主な副作用 | 不正性器出血、頭痛、下腹部痛、腹痛など | 不正出血、吐き気、頭痛など | 不正出血、低エストロゲン症状など |
服用回数 | 1日1回(24実薬+4プラセボ) | 1日1回 | 1日2回 |
保険適用 | 自費診療 | LEPは保険適用、OCは自費診療 | 保険適用 |
特徴 | エストロゲンを含まない経口避妊薬 | OC:避妊 LEP:月経困難症などの治療 | 月経困難症・子宮内膜症・子宮腺筋症の疼痛治療 |
このような方におすすめ
●低用量ピルで副作用が出やすかった方
吐き気、頭痛、むくみなどの症状の原因をエストロゲンだけに限定することはできません。エストロゲンを含まないスリンダ錠へ切り替えることで症状が変化することはありますが、スリンダ錠でも頭痛、腹痛、悪心、浮腫などがみられることがあります。
●エストロゲン含有ピルの血栓症リスクが気になる方
エストロゲンを含む低用量ピルの血栓症リスクが気になる方では、健康状態に応じて選択肢となることがあります。
●授乳中の避妊を検討している方
授乳中でも使用を検討できる場合があります。ただし、ドロスピレノンは母乳中へ移行することが報告されているため、産後の時期や授乳状況を踏まえて医師と相談します。
●避妊とあわせて月経症状についても相談したい方
スリンダ錠の日本での承認効能は「避妊」であり、月経困難症やPMSの治療薬としては承認されていません。ドロスピレノン単剤で月経痛が改善したとする限定的な報告はありますが、特にPMSについては有効性が確立していません。月経痛やPMSの治療を主目的とする場合は、症状に応じてLEPなど他の治療法も含めて検討します。
※月経症状への効果は個人差があり、スリンダ錠の国内承認効能はあくまでも避妊です。
錠剤の構成と正しい飲み方

1シートの内訳(24+4)
スリンダ錠は、飲み忘れを防ぐために「28日間休まずに飲む」サイクルになっています。
有効成分が含まれた白色の錠剤(実薬)が24錠、成分が含まれていない淡黄色の錠剤(プラセボ錠)が4錠で構成されています。
内服のタイミング
毎日一定の時刻に1錠ずつ、白色の実薬から指定された順番に服用します。28錠すべて飲み終えたら、休薬期間を置かずに翌日から新しいシートを開始してください。
性感染症の予防について
スリンダ錠はHIV感染症を含む性感染症を予防する薬ではありません。性感染症の予防にはコンドームの使用が有効です。
偽薬の役割
プラセボ錠を服用する4日間に消退出血が起こることがあります。ただし、出血パターンには個人差があり、出血がない周期や不規則な出血がみられることもあります。
副作用「不正出血」について
スリンダ錠を服用するうえで、あらかじめ知っておいていただきたい副作用のひとつが「不正出血」です。
発現率
国内第III相試験では、月経中間期出血が89.5%(247/276例)に報告されました。服用を続けるにつれて、出血・スポッティングの日数は減少する傾向が示されています。
経過
服用開始後しばらくは、不正出血が不規則にみられることがあります。
特に服用開始から数か月間は比較的起こりやすい副作用ですが、継続して服用することで、出血の頻度や日数は徐々に減少していく傾向があります。
不正出血があった場合
不正出血がみられること自体は、直ちに避妊効果の低下を意味するものではありません。自己判断で服用を中止せず、処方どおり服用してください。ただし、飲み忘れや激しい下痢・嘔吐がある場合は避妊効果が低下する可能性があります。また、出血量が多い場合や長期間続く場合は、他の原因を確認する必要があるため必ず受診相談してください。
料金(自費診療)
スリンダ錠 1シート(28日分): 3,300円(税込)
※上記の金額には、診察料・お薬代がすべて含まれています。
※自費診療となります。初診料がかかります。
※処方にあたっては、医 師が現在の健康状態や既往歴を確認し、安全に使用できるかを判断します。
ミニピル・スリンダ錠 よくある質問
Q. 服 用中に不正出血が続いても大丈夫ですか?
スリンダ錠では、服用開始後に不正出血(少量の出血や不規則な出血)が起こりやすいことが分かっています。継続に伴って出血・スポッティングの日数が減少する傾向があります。不正出血そのものは直ちに避妊効果の低下を意味しませんが、出血量が多い場合や長期間続く場合は、他の原因を除外するため受診してください。
Q. 授乳中でも本当に服用できますか?
授乳中でも使用を検討できる場合があります。治療上の有益性と母乳栄養を考慮して授乳の継続または中止を検討するとされています。ドロスピレノンは母乳中へ移行することが報告されているため、産後の時期や授乳状況を踏まえて医師と相談してください。
Q. 今飲んでいる低用量ピルから切り替えはできますか?
可能です。現在服用中の低用量ピルの種類や服用状況により、切り替えのタイミングが異なります。避妊効果を保つためにも、自己判断で切り替えず、必ず医師にご相談ください。
Q. 飲み忘れてしまった場合はどうすればいいですか?
白色の実薬を1錠飲み忘れ、翌日までに気づいた場合は、気づいた時点で直ちに飲み忘れた1錠を服用し、その日の錠剤も通常どおり服用します。2日連続して飲み忘れた場合も、気づいた時点で飲み忘れた錠剤を1錠服用し、その日の錠剤を通常どおり服用しますが、その周期はコンドームなど他の避妊法を併用してください。3日以上連続して飲み忘れた場合は、電子添文では服用を中止し、次の月経を待って再開することとされています。判断に迷う場合は当院へご相談ください。
Q. ミニピルは誰でも処方してもらえますか?
多くの方で使用を検討できますが、誰にでも適するわけではありません。乳癌または生殖器癌とその疑い、診断の確定していない異常性器出血、重篤な腎障害・急性腎障害、重篤な肝障害、妊娠中または妊娠の可能性がある場合は使用できません。また、ドロスピレノンには抗ミネラルコルチコイド作用があるため、腎機能障害がある方や、ACE阻害薬・ARB・カリウム保持性利尿薬・カリウム製剤などを使用している方では高カリウム血症に注意が必要です。当院では、既往歴、服用中のお薬、血圧などを確認したうえで処方の可否を判断します。
公開日:2026年8月26日
最終更新日:2026年8月26日
執筆者兼監修者プロフィール

広尾レディース 恵比寿本院
院長 宗田 聡
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医学博士
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日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
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日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医・指導医
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日本医師会認定産業医
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米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)上級会員(Fellow)
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FMF(Fetal Medicine Foundation)認定妊娠初期超音波検査者

