その「頻尿」、実は子宮のサインかもしれません
- 5月29日
- 読了時間: 3分
内科で治らない時のチェックリスト
― 産婦人科医・産業医が教える、泌尿器科と婦人科をつなぐ「骨盤内ケア」のすすめ ―
はじめに
「最近、トイレが近くて仕事に集中できない……」
「膀胱炎かな?と思って内科でお薬をもらったけれど、あまり変わらない」
このような悩みを抱えていませんか。
頻尿や残尿感が続くと、多くの方は「膀胱のトラブル」を疑います。
しかし、女性の場合、膀胱のすぐ隣にある「子宮」が関係している可能性もあります。
特に、30代後半から40代にかけて増える子宮筋腫が、膀胱を圧迫しているケースも少なくありません。
本記事では、内科や泌尿器科の治療だけでは改善しにくい頻尿の背景にある「子宮筋腫」の可能性について、医学的な視点から分かりやすく解説します。
1.意外と多い女性の「排尿トラブル」
頻尿は決して珍しい症状ではありません。
統計では、40歳以上の女性の約20〜30%が何らかの排尿トラブルを自覚していると報告されています。
一方で、
「年齢のせいだから仕方ない」
「冷えただけかもしれない」
と自己判断してしまい、適切な診断が遅れてしまうケースも少なくありません。
頻尿は、体からの大切なサインの一つです。
2.膀胱炎の治療で「改善しない」ときに考えること
細菌性膀胱炎であれば、抗菌薬を数日間服用することで、多くの場合は症状が改善します。
しかし、次のような場合には注意が必要です。
・検尿をしても白血球や細菌が見当たらない
・抗菌薬を飲んでも症状に変化がない
・月経周期や体調の変化に合わせて症状が悪化する
このようなときは、原因が膀胱そのものではなく、**膀胱の外側(骨盤内臓器)**にある可能性も考えられます。
3.子宮筋腫がなぜ「頻尿」を引き起こすのでしょうか
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、30〜50代女性の約30〜50%に認められると報告されています。
頻尿と関係する理由は、骨盤内の臓器配置にあります。
・物理的な圧迫
子宮は膀胱のすぐ後ろに位置しています。
子宮の前側に筋腫ができると、膀胱を外側から押す形になります。
・膀胱容量の低下
圧迫によって膀胱が十分に広がらなくなり、少量の尿でも尿意を感じやすくなります。
4.筋腫による頻尿を見分けるヒント
一般的な膀胱炎と、子宮筋腫による圧迫性頻尿には、いくつかの違いがあります。
・痛みの有無
筋腫が原因の場合、排尿時の痛みは出にくい傾向があります。
・時間帯
日中の頻尿が目立ち、夜間はそれほど多くないことがあります。
・随伴症状
月経量が増える(過多月経)、下腹部の張りや圧迫感を伴うことがあります。
5.泌尿器科と婦人科、両方の視点が大切な理由
「頻尿=泌尿器科」と考えがちですが、女性の骨盤内では臓器が密接に関係しています。
・泌尿器科
尿検査や超音波検査で、膀胱や腎臓の異常を評価します。
・婦人科
経腟超音波検査により、子宮の大きさや位置、膀胱との関係を確認します。
この両面からの評価によって、初めて本当の原因に近づくことができます。
あなたは大丈夫?婦人科受診を検討したいチェックリスト
次の項目に一つでも当てはまる場合は、婦人科での骨盤内チェックを検討してみましょう。
頻尿が数か月以上続いている
内科や泌尿器科で薬をもらったが、効果を感じにくい
以前より月経量が増えた、または期間が長くなった
健康診断で貧血を指摘されたことがある
仰向けに寝ると下腹部に圧迫感や硬さを感じる
おわりに
子宮筋腫による頻尿は、抗菌薬や過活動膀胱の治療薬だけでは、十分に改善しないことがあります。
「診る科が違っていただけ」で、婦人科で原因が分かり、手術、薬物療法、経過観察など、状態に応じた選択肢が見つかることも少なくありません。
「たかが頻尿」と我慢せず、まずは専門医に相談し、心身ともに軽やかな毎日を取り戻していきましょう。


