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宗田聡のやさしい産婦人科ブログ

NIPTの相場はいくら?内訳と後悔しない施設選びのポイント

  • 2 日前
  • 読了時間: 22分

「NIPTを受けたいけれど、費用はどのくらいかかるのだろう」と、妊娠がわかり、おなかの赤ちゃんの健康が気になり始めたとき、多くの方がまず直面するのが費用についての疑問でしょう。


NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は、妊婦さんの血液を用いて、胎児の染色体疾患(主に13・18・21トリソミー)の“可能性”を調べる検査です。採血のみで行える一方で、確定診断ではありません。2013年に日本で導入されて以来、受検者数は年々増え続けています。出生前検査認証制度等運営委員会の報告によれば、2023年度の認証施設における受検者数は40,813人にのぼりました。しかしNIPTは健康保険が適用されない自費診療であり、施設によって費用に大きな開きがあるのも事実です。


インターネットで「NIPT 費用」と検索すると、5万円台から30万円超まで、幅広い価格帯の施設が並んでいるのが目に入るはずです。同じ「NIPT」という名前の検査でも、なぜここまで費用に差があるのでしょうか。その疑問に答えるには、検査内容の違いやサポート体制の差、そして「費用に含まれているもの」と「含まれていないもの」の区別を理解する必要があります。


この記事では、NIPTの費用相場を検査の種類別に整理したうえで、価格の裏側にある「安心の中身」までできるだけ具体的に解説していきます。費用だけで判断してしまい後悔するケースを避けるための情報を、できる限り具体的にお伝えしていきましょう。


NIPTの費用相場と他の出生前検査との比較


NIPTの費用を正しく理解するうえで、まず出生前検査全体の中でNIPTがどのような位置づけにあるのかを把握しておきましょう。


出生前検査は大きく「非確定検査(スクリーニング)」と「確定検査」の2つに分けられます。非確定検査は母体や胎児への身体的リスクが低い反面、あくまで「可能性」を評価するもので、それ単体では診断が確定しません。確定検査は診断を確定できるものの、流産などのリスクを伴う点が大きな違いでしょう。


NIPTの費用はどの程度か

NIPTの費用は、日本国内でおおむね9万円〜25万円程度と幅があります。厚生労働科学研究費補助金による受検者調査(令和4年度)では、受検料金が11万円未満の方が全体の35%、11万〜20万円未満が47%、20万円以上が16%という結果でした。


認証施設(日本医学会が認定した施設)では、数年前まで20万円前後が主流だったものの、近年は10万円前後に設定するクリニックが増加傾向にあります。一方で認証外施設では検査項目の幅が広い分、フルオプションで20万〜30万円を超えるケースも珍しくありません。


ここで注意したいのは、「表示価格に何が含まれているか」という点でしょう。NIPTの費用は主に3つの要素で構成されており、その内訳を理解しておくことが施設選びの第一歩となります。


1つ目は検査そのものの料金で、採血した血液を解析するための費用にあたるもの。高額な次世代シークエンサーを用いるため、機器や技術に伴うコストが反映されている部分です。2つ目は遺伝カウンセリング料で、検査前の説明や結果解釈がここに含まれます。そして3つ目が初診料や再診料といった診察関連の費用でしょう。


施設によっては遺伝カウンセリング料が検査代に含まれていたり、別途5,000円〜15,000円程度が加算されたりと対応はさまざまです。「10万円」という見出し料金だけを比較していると、実際の総額が想定と大きくずれる可能性があるため、見積もりの段階で内訳を確認しておくことが欠かせません。


他の出生前検査との費用比較

NIPTの費用感をつかむために、他の出生前検査の相場と検出精度もあわせて見ておきましょう。


母体血清マーカー検査(クアトロテスト)は2万〜3万円程度と手頃ですが、ダウン症候群の検出率は70〜80%程度にとどまります。コンバインド検査(オスカー検査)は3万〜5万円前後で、検出率は90〜95%程度です。いずれも費用を抑えられる反面、NIPTほどの精度は期待できないのが実情でしょう。


確定検査である羊水検査の相場は10万〜20万円程度で、子宮に針を刺す侵襲的な検査であることから約1/300(0.3%)の割合で流産リスクを伴います。同じく確定検査の絨毛検査も10万〜20万円程度の価格帯で、同様のリスクがある点に留意が必要でしょう。


ここで各検査の費用感を一覧にまとめると、次のようになります。母体血清マーカー検査が約2万〜3万円、コンバインド検査が約3万〜5万円、NIPTが約9万〜25万円、羊水検査が約10万〜20万円、絨毛検査が約10万〜20万円です。非確定検査のカテゴリーの中ではNIPTが最も高額ですが、検出率99.1%(ダウン症候群)という精度を考慮すると、他の非確定検査を受けた後にNIPTを追加で受けるケースに比べ、最初からNIPTを選択するほうがトータルの費用と時間の面で効率的だという見方もできるでしょう。


実際、NIPTの導入以降、流産リスクを伴う羊水検査の実施件数は減少傾向にあります。NIPTで陰性が確認されれば羊水検査を受ける必要性がなくなるケースが多く、「侵襲的な検査を避けつつ高精度な情報を得たい」というニーズに応えるかたちでNIPTの受検者数が伸びているわけです。


NIPTは採血のみで実施でき、ダウン症候群に関する検出率は99.1%と非常に高い水準になっています。「非侵襲でありながら高精度」という特性を考えると、費用は他の非確定検査より高額であっても、精度とリスクのバランスでは合理的な選択肢だといえるのではないでしょうか。


NIPTコンソーシアムが2013年〜2021年に蓄積した10万件超の追跡データを見ると、受検者の97.8%が「陰性」の結果を得ています。陽性率は全体で約1.8%(およそ50人に1人)であり、仮に陽性が出た場合でも偽陽性の可能性があるため、確定診断には羊水検査が別途必要となる点も、あわせて理解しておきましょう。


認証施設と認証外施設で費用が異なる理由


「同じNIPTなのに、なぜ施設によってこれほど費用に差があるのか」という疑問の背景には、検査内容だけでなく、サポート体制の充実度が深く関わっています。


検査項目の違いが価格差を生む構造

認証施設で行うNIPTの検査対象は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常のみです。検査精度の十分な検証がなされている項目だけに限定することで、結果の信頼性を担保する設計となっています。


一方、認証外施設では「拡張NIPT」として性染色体異常や全染色体検査、微小欠失症候群なども対象に含めているケースが多く、項目が増えるほど費用が加算される仕組みです。検査項目が多ければ多いほど安心できるように見えるかもしれませんが、ここには注意すべき落とし穴があるでしょう。


3つの主要トリソミー以外の常染色体の数的異常については、ほとんどが流産に至るか、そもそも着床に至らないとされている領域です。こうした検査を追加しても陽性的中率は低く、結果の臨床的な解釈が困難になりやすいのが現場の実情です。認証施設が検査対象をあえて3項目に限定しているのは、科学的根拠に基づいた合理的な判断だといえるでしょう。


性染色体の検査についても、3つの主要トリソミーと比較して検出精度が低いことが知られており、認証施設で検査対象から外されているのはこのためでしょう。


遺伝カウンセリングの質が費用に反映されている

認証施設では、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングが必須です。検査の意味や限界、結果の解釈、その後の選択肢について、対面で十分な説明と対話の時間が確保される体制が整えられています。


認証外施設の中には、カウンセリングを簡略化していたり、結果を郵送・メールのみで通知する施設があるのも実態でしょう。厚生労働科学研究費の受検者調査によると、結果開示時に「説明がなかった」と回答した割合は認証施設で10%だったのに対し、非認証施設では84%にのぼりました。


この差が最も深刻な影響を及ぼすのは、NIPTで陽性と判定されたときでしょう。結果の正しい解釈や今後の対応について専門家から丁寧な説明を受けられるかどうかで、ご夫婦の精神的な負担は大きく変わってきます。「検査前にしっかりカウンセリングを受けられてよかった」「結果が出た後も相談できる体制があったから冷静に判断できた」という声が認証施設の受検者に多い背景には、こうしたサポートの厚みがあるからでしょう。


陽性時のフォロー体制という「見えないコスト」

NIPTは確定検査ではないため、陽性判定が出た場合は羊水検査による確定診断が選択肢に入ってきます。羊水検査の費用は10万〜15万円程度が一般的で、NIPTを受けた施設が羊水検査まで対応できるか、その費用を補助してくれるかは施設ごとに異なるポイントです。


認証施設の中には、NIPT陽性時の羊水検査費用を全額補助するところもあります。見かけ上のNIPT費用が安くても、陽性時に羊水検査代が別途10万円以上必要になるケースでは、トータルの総額が逆転する可能性も十分にあるでしょう。


さらに見落とされがちなのが、陽性判定後に別の施設を探す手間の問題です。NIPTのみを提供する非認証施設では羊水検査に対応できないことが多く、陽性が出てから改めて大学病院や総合病院を紹介されるという流れになりがちです。限られた時間の中で新たな施設を探し、予約を取り、初診を受けるという過程は、精神的にも体力的にも大きな負担となりかねません。一方、認証施設は必ず基幹施設と連携施設があり互いに情報交換も行なっているため、スムーズに次の段階に進むことができます。


費用の比較においては、「NIPTの検査代」だけでなく「陽性時に発生しうる総費用と手間」まで含めたシミュレーションが欠かせないわけです。


NIPTに保険は適用される?医療費控除や助成金の現状


NIPTの費用負担を考えるにあたって、公的な支援制度が使えるかどうかは誰しも気になるところでしょう。現時点では、費用を軽減できる制度はかなり限定的になります。


健康保険は適用外

NIPTは「病気の診断や治療」ではなく、「リスクを推定するスクリーニング検査」に分類されており、厚生労働省の「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する指針」にも保険適用を示す記載はありません。国民健康保険・社会保険のいずれも対象外であり、検査費用は全額自己負担で準備する必要があるのが実情でしょう。


医療費控除も原則として対象にならない

NIPTは「治療を目的とした医療行為」に該当しないため、医療費控除の対象外とされています。


ただし、NIPTの結果を受けて羊水検査や治療につながった場合は、一連の費用が控除対象に含まれる可能性もゼロではありません。判断に迷う場合は、最寄りの税務署に確認するのが確実でしょう。


高額療養費制度・民間保険も活用は難しい

高額療養費制度は保険診療が対象のため、自費診療であるNIPTには適用されません。民間の医療保険でNIPTをカバーする商品もほぼ見当たらないのが現状です。


海外ではドイツやイギリスで公的保険適用の動きがあるものの、日本では全額自費が前提となるでしょう。


NIPTの費用を抑えるために知っておきたい現実的な視点


NIPTが全額自費であることを知ると、少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。ただし、単に「安い施設を探す」というアプローチには落とし穴もあるため、もう少し広い視野で費用と向き合うことが大切でしょう。


「検査単体の費用」と「総費用」を分けて考える

NIPTの費用を比較するとき、多くの方が注目するのは検査代そのものでしょう。しかし実際には、カウンセリング料、初診料、交通費、そして万が一陽性だった場合の羊水検査費用まで含めた「総費用」で考える必要があります。


たとえばNIPT検査代が8万円でも、カウンセリング料が1.5万円、初診料が0.7万円、陽性時の羊水検査代が全額自己負担で15万円だった場合、最悪のケースでは25万円以上の出費となります。一方、検査代が10万円でも羊水検査費用が全額補助される施設であれば、陽性時の総額はおよそ12万円前後に収まる計算です。このように、表面的な検査代の安さだけでは費用の全体像を正確に把握できないわけです。


通院にかかる「隠れコスト」も見逃せない

NIPTの施設選びでは、通院にかかる交通費や時間も見落とされがちなコストです。認証施設は都市部に集中する傾向があり、地方在住の方にとっては新幹線や宿泊を伴う出費が発生することもあります。


また、来院回数が多い施設では、その分だけ仕事の調整や交通費が増えることになります。自宅や職場からのアクセスの良さ、土日対応の有無、カウンセリングと採血を同日に行えるかどうかなど、利便性の面も費用と同様に重要な判断材料となるでしょう。


認証施設の費用は下がる傾向にある

かつては認証施設のNIPT費用は20万円前後が相場でしたが、2022年に出生前検査認証制度がリニューアルされてNIPTの連携施設(クリニックなど)が大幅に増加したことで、費用は全体的に引き下げられてきました。現在では10万円前後で受検できる認証施設も珍しくなく、「認証施設=高い」というイメージは必ずしも現状に合致しなくなっています。


認証施設で受検する場合は、遺伝カウンセリングの質やフォロー体制が一定水準以上に保たれているため、「安さと安心のバランス」という観点では、認証施設のコストパフォーマンスは以前よりもかなり向上したといえるでしょう。


費用だけで施設を選ぶと起きること


NIPTの費用相場を調べていくと、「できるだけ安く受けたい」という気持ちが生まれるのは自然なこと。ただしNIPTに関しては、価格だけで判断した結果、後悔につながるケースも報告されています。


「検査費用が無駄になった」と感じやすいパターン

実際にNIPTを受けた方の中には、「お金をかけたのに期待した安心が得られなかった」という声があります。こうした不満が生まれやすいパターンを具体的に見てみましょう。


最も多いのは、精度が十分に検証されていない拡張検査を受け、判断に困る結果が出てしまうケースです。3つの主要トリソミー以外の項目で陽性判定が出ると、確定検査でも結論が出しにくく、不安だけが長期間続くという状況に陥ることがあります。


結果の通知方法に関する問題も無視できないところです。メールや郵送のみで結果が届き、医師に直接質問する機会がなかった場合、「判定保留」や「陽性」といった想定外の結果を受け止めきれないのは当然でしょう。


そして陽性が出た後に、羊水検査を受けられる施設を自力で探さなければならなかったという経験をした方もいるかと思います。NIPTの費用を抑えた分、羊水検査で別途高額な出費が発生し、トータルではかえって高くついたというケースも珍しくありません。


施設選びで確認すべき5つの視点

費用を比較する際には、金額以外の観点もあわせてチェックしておくことが重要です。以下の5つの視点が、後悔しない施設選びの指針となるでしょう。


1つ目は、臨床遺伝専門医が在籍しているかどうかです。遺伝医学の専門知識を持つ医師がいる施設なら、検査結果の解釈やその後の対応について的確な助言が期待できます。


2つ目は、遺伝カウンセリングが検査の前後に実施されるかという点です。検査前にNIPTの目的や限界を理解し、結果後に適切な解釈を受けることで、不要な不安を減らせる効果が見込めるでしょう。


3つ目は、陽性時に羊水検査(確定検査)まで対応可能かどうかです。認証施設のように羊水検査が可能な施設と連携されているとスムーズに行われますが、非認証施設の場合多くはそこから羊水検査ができる施設を探さなければならないことが多いので、非常に不安な時期を過ごすことになりかねません。


4つ目は、羊水検査費用の補助の有無です。全額補助の施設を選べば、万が一の場合でも費用負担を心配せずに済むでしょう。


5つ目が、検査結果の説明が対面で行われるかどうかです。結果の受け止め方は人それぞれであり、医師と直接話せる環境が整っていることは、安心感に直結する重要な要素でしょう。


NIPTを受ける適切な時期と検査の流れ


NIPTは妊娠10週以降に受けることができ、出生前検査の中で最も早い時期に実施可能です。ただし妊娠9週以下では母体血中の胎児由来DNA量(胎児ゲノム)が十分でないことがあり、再検査が必要になるケースもあります。


受検の一般的な流れ

まず予約を取り、来院日に遺伝カウンセリングを受けるところからスタートします。カウンセリングでは検査の目的や限界、結果の意味、想定される選択肢について医師から説明を受け、十分に理解・納得したうえで採血に臨む流れです。カウンセリングの内容を踏まえた結果、検査を見送るという判断をすることもあり得ることで、その選択も尊重されるべきものでしょう。


採血後、血液サンプルは検査機関へ送られ、結果が出るまでにはおよそ10日前後を要するのが一般的です。後日あらためて来院し、医師から対面で結果の説明を受けるのが標準的な流れとなっています。


来院回数は2回が基本ですが、遺伝カウンセリングと採血を同日に行える施設も存在します。仕事をしながら通院する方にとっては、土日対応の施設を選ぶことでスケジュール調整の負担を軽減できるかもしれません。


なお、NIPTは妊娠16週頃までに受けるのが望ましいとされている点にも注意が必要です。陽性が出た場合に羊水検査(妊娠16〜17週頃が適切)を受ける時間的余裕を確保するためには、あまりギリギリの週数で受検すると後の判断に十分な時間が取れなくなる恐れがあるためです。妊娠10〜14週頃に受検を完了させるスケジュールが、もっともゆとりを持てる計画といえるでしょう。


検査前に準備しておくとよいこと

NIPTを受ける前に、パートナーとの話し合いの時間を設けることが推奨されています。厚生労働省のNIPT等出生前検査に関する専門委員会の報告書でも、妊婦のみならずパートナーを含めた意思決定の重要性が明確に指摘されています。


「検査で陽性が出た場合にどうするか」「確定検査を受けるかどうか」「その結果を受けてどう判断するか」といったテーマについて、あらかじめ考えを整理しておくと、カウンセリングの時間をより有意義に活用できるでしょう。


事前の準備は、検査結果に対して冷静に向き合うための土台となるものです。NIPTは採血だけの検査ではありますが、その結果が持つ意味の重さを考えれば、受検までのプロセスも含めて「検査の一部」と捉えておくのが望ましいのではないでしょうか。


NIPTの結果はどう読み解くか――陽性・陰性・判定保留の意味


NIPTの費用を検討するうえで、結果の意味を事前に理解しておくことも重要なポイントです。結果は「陽性」「陰性」「判定保留」の3パターンで報告され、それぞれ意味合いが異なります。


「陰性」でも100%安心ではない

NIPTで陰性の結果が出た場合、胎児が3つのトリソミー(ダウン症候群・18トリソミー・13トリソミー)を持っている可能性はきわめて低くなります。陰性的中率は99.9%以上と非常に高い水準にあるため、多くの方がこの時点で大きな安心を得られるでしょう。


ただし、100%ではないという点は理解しておく必要があります。NIPTコンソーシアムの追跡調査では、72,525件中6件の偽陰性(ダウン症候群と18トリソミーに各3件)が確認されており、1万人に1人程度の割合で偽陰性が生じうるという結果でした。また、NIPTで調べられるのは3つの染色体トリソミーに限られるため、その他の先天性疾患の可能性までは否定できない点も認識しておきましょう。


「陽性」は確定ではない――偽陽性の可能性

NIPTで陽性と判定されたからといって、胎児が必ずトリソミーを持っているとは限りません。たとえば35歳の妊婦さんが「21トリソミー陽性」という結果を受けた場合でも、実際には胎児にトリソミーがない偽陽性の可能性が約20%あるとされています。


このため、陽性の場合は羊水検査による確定診断が必要となるわけですが、ここで重要なのは、その結果を「誰から」「どのように」説明されるかという点。臨床遺伝専門医による丁寧な説明があれば、陽性的中率の考え方や今後の選択肢について冷静に理解することが可能になるでしょう。認証外施設で十分な説明なく「陽性」の文字だけが通知された場合、必要以上にパニックに陥ってしまうリスクがあることは容易に想像がつきます。


「判定保留」――検査であれば起こりうる可能性

NIPTの結果には、陽性でも陰性でもない「判定保留」というケースも存在。日本国内のデータでは0.3〜0.4%程度の確率で発生するとされており、1000人に受検すると3〜4人がこの結果になる計算でしょう。


判定保留の原因としては、母体血中の胎児由来DNA量が不足していることが多く、体格(BMI25以上)や妊娠週数が早すぎるケースで起こりやすいことが知られています。また母体がヘパリンなど特殊な薬剤を使っているケースでも起こることがあります。判定保留となった場合の対応は、再度採血してNIPTを行う、あるいはNIPT以外の検査を検討するなど複数の選択肢があり、医師と相談のうえで方針を決めることになるでしょう。


こうした結果のバリエーションを事前に知っておくことで、いざ結果を受け取った際に冷静に対応できる可能性が高まります。費用だけでなく、「結果が出た後にどうなるか」まで想定して施設を選ぶことが、後悔のない受検につながるのではないでしょうか。


NIPTの受検を迷っている方へ


出生前検査を受けるかどうかは、きわめて個人的でデリケートな判断です。厚生労働省が2021年に実施した一般市民への意識調査では、「もし妊娠したら出生前検査を受けたい」と回答した女性は51.8%、「受けたくない」と回答した女性は7.2%という結果でした。約4割は「どちらともいえない」と回答しており、迷うこと自体が珍しいわけではありません。


NIPTを受ける理由として多いのは、「高齢出産に伴う不安を軽減したい」「赤ちゃんを迎える準備をしっかりしたい」「流産リスクのある羊水検査を受ける前の判断材料にしたい」といったもの。いずれも前向きな動機であり、赤ちゃんと自分自身を大切にする気持ちの表れでしょう。


同じ調査によれば、出生前診断を受けた割合は35歳未満で17.1%、35〜39歳で34.7%、40歳以上で59.1%。年齢が上がるにつれてダウン症候群などの染色体異常リスクが高まることから、受検率も上昇する傾向にあるわけです。


一方で、「結果にかかわらず産む決意がある」「知ることでかえって不安が増す」という理由から受けない選択をされる方もいらっしゃいます。NIPTは義務ではなく、受けても受けなくても、ご本人とご家族が十分に考え抜いたうえでの判断は最大限に尊重されるべきもの。


ここで注目しておきたいのが、NIPTを「命の選別」のためだけの検査と捉える必要はないということ。検査を受ける方の中には、「もし赤ちゃんに疾患があったとしても、生まれてすぐに最善の医療を受けられるよう、事前に準備しておきたい」という理由で受検されるケースも少なくありません。出産施設の選定、NICUが併設された病院との連携、療育環境の情報収集など、事前準備ができることは想像以上に多いもの。検査を受けることがイコール「産まない選択」ではないことを、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。


大切なのは、「知らなかったから受けられなかった」「選択肢があることすら知らなかった」という状況を避けること。検査の存在を知ったうえで、自分とパートナーにとっての最善を選ぶ――そのための一助となれば幸いです。


NIPTの費用に関してよくある質問


NIPTの費用や受検にまつわる疑問の中から、特にお問い合わせの多いものをまとめました。


NIPTの費用が施設によって大きく異なるのはなぜか

NIPTの費用差が生まれる最大の要因は、検査項目の範囲とフォロー体制の充実度にあります。認証施設が3つの主要トリソミーに検査を限定しているのに対し、認証外施設では検査項目を広げたプランを提供しているケースが多く、その分費用も上乗せされる構造でしょう。また、遺伝カウンセリングの実施方法(対面かオンラインか、専門医が対応するか否か)や、陽性時の羊水検査費用の補助有無なども費用差に直結する要素。単純な「検査代」だけでなく、サービスの総体として費用を捉えることが大切です。


NIPTの費用を分割払いで支払うことは可能か

施設によっては、クレジットカードでの支払いを通じて分割払いを利用できる場合もあります。NIPTは10万円前後の出費となるため、一括での支払いが負担に感じる方は、事前に施設の支払い方法を確認しておくとよいでしょう。医療ローンに対応しているクリニックもごく一部ですが存在するため、経済面の不安がある方は予約前に問い合わせてみることをおすすめします。


双子の場合もNIPTの費用は同じか

双胎(双子)妊娠の場合もNIPTを受けることは可能ですが、双胎ではどちらの赤ちゃんが陽性であるかを特定できないという制限や、検出精度が単胎と比べてやや低くなるといった特徴があるため、事前に医師から詳しい説明を受けておくことが望ましいでしょう。


NIPTの交通費は医療費控除の対象になるか

NIPTの検査費用自体が医療費控除の対象外であるため、検査に伴う交通費も控除の対象にはなりません。遠方の施設に通う場合は新幹線代や宿泊費が加わることもあるため、施設選びの際にはアクセスの利便性も重要な判断材料となるでしょう。


NIPTの費用が今後下がる可能性はあるか

認証施設の増加に伴い、NIPTの費用は近年下降傾向にあります。2022年の認証制度リニューアル以降、連携施設としてNIPTを提供するクリニックが全国的に増加したことで、競争原理が働き始めた結果ともいえるでしょう。ただし、遺伝カウンセリングや陽性時のフォロー体制といったサービスの質を維持するためには一定のコストが必要であり、際限なく値下がりが進むことは考えにくいのが現実的な見方でしょう。大切なのは、費用の安さだけを追い求めるのではなく、「この費用にどれだけの安心が含まれているか」という視点で施設を比較すること。価格と質のバランスが取れた施設を見つけることが、結果的にもっとも賢い選択になるはずです。


広尾レディースのNIPT検査について

NIPTの費用や施設選びに不安を感じている方は、広尾レディース〜恵比寿本院〜へお気軽にご相談ください。


当院は出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)にNIPT実施医療機関(連携施設)として認定されており、基幹施設である東京慈恵会医科大学と連携して対応しております。


院長の宗田聡は、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医および日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医・指導医の資格を持ち、長年にわたり胎児診断・出生前診断の診療・教育・研究に従事してきました。米国ではNIPTの世界的第一人者であるビアンキ教授(米国NICHD所長)の研究室で基礎研究を学び、帰国後は母校筑波大学スタッフとして胎児診断・胎児治療の現場経験を積んだ、この分野のスペシャリスト。日本医学会の施設認証ワーキンググループ構成員としてNIPT実施医療機関の審査にも携わっています。現在は日本産婦人科医会先天異常委員会委員長でもあります。


当院のNIPT費用は以下のとおり。

  • NIPT検査代(陽性時の羊水検査料金込み):99,000円(108,900円税込)

  • 遺伝カウンセリング料:10,000円(11,000円税込)

  • 別途:初診料6,000円(6,600円税込)


NIPT陽性の場合、羊水検査の費用は全額補助いたします(検査以外の診察料などは除外)。羊水検査の実施から結果説明・カウンセリングまで、院長が一貫して対応する体制を整えており、基幹病院は院長が非常勤講師でもある東京慈恵会医科大学である点も、当院ならではの安心材料でしょう。


NIPTのみのご利用も歓迎しており、他院で妊婦健診を受けている方でもお気軽にお問い合わせください。年齢制限はなく、妊娠10週以降であればどなたでも受検可能。FMF認定資格を保有するスタッフによる質の高い超音波検査も実施しており、安心して検査に臨める環境を整えています。


24時間インターネット予約が可能で、土曜日の午前中にも対応しております。





 
 
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