45歳からの「手のしびれ・痛み」は更年期かもしれません
- 4月3日
- 読了時間: 4分
整形外科に行く前に知っておきたい話
指のこわばり、ヘバーデン結節と女性ホルモンの関係。HRTの有効性と限界を知る
はじめに
45歳前後から、
「朝、手がこわばる」
「指先がしびれる」
「細かい作業がしにくい」
といった手指の不調を感じる女性は少なくありません。
これらの症状は、使いすぎによる腱鞘炎など「整形外科的な病気」と考えられることが多いのですが、その背景に、更年期に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の低下が関与している可能性もあります。
本記事では、手指の不調と更年期の関係、治療の選択肢、注目されている成分「エクオール」について、分かりやすく解説します。
更年期とは?手指に何が起こっているのでしょうか
更年期とは、閉経前後の約10年間(一般に45~55歳頃)を指し、卵巣機能の低下により、エストロゲンの分泌が大きく変動しながら減少していく時期です。
日本産科婦人科学会のガイドラインでも、更年期症状には「ほてり」「のぼせ」といった症状だけでなく、関節痛や手指の不調などの「筋骨格系症状」が含まれることが示されています。
近年では、こうした更年期特有の手指の症状を、日本手外科学会が
「メノポハンド(メノポーザルハンド)」
という名称で啓発し、注目されています。
なぜエストロゲンが減ると手が痛むのでしょうか
エストロゲンには、関節や腱、靭帯、神経を保護する働きがあります。
指の関節や腱の周囲にある「滑膜」にはエストロゲン受容体が多く存在しており、ホルモンが減少すると、次のような変化が起こりやすくなります。
・炎症が起こりやすくなる:
滑膜が腫れ、関節や腱に炎症が生じやすくなります。
・神経が圧迫されやすくなる:
組織のむくみにより神経の通り道が狭くなり、手根管症候群などを起こすことがあります。
・痛みを感じやすくなる:
痛みに対する感受性が高まり、軽い刺激でも痛みやしびれを強く感じることがあります。
治療の選択肢①:HRT(ホルモン補充療法)の有効性と限界
日本産科婦人科学会・日本女性医学学会のガイドラインでは、HRTは更年期症状に対する治療法の一つとして位置づけられています。
・期待される効果:
ホットフラッシュだけでなく、初期の関節痛や手指のこわばりが改善する例が報告されています。
一方で、HRTは万能ではありません。
・骨の変形が進んでいる場合:
ヘバーデン結節などで関節が変形している場合、形を元に戻すことはできません。
・神経の圧迫が強い場合:
手根管症候群が進行している場合は、手術が優先されることがあります。
・他の病気が原因の場合:
関節リウマチなどが背景にある場合は、別の治療が必要になります。
治療の選択肢②:注目される成分「エクオール」
「ホルモン療法には抵抗がある」
「まずは体にやさしい方法から試したい」
という方に選ばれることが多いのが、エクオールです。
エクオールは、大豆イソフラボンが体内で変換されてできる成分で、エストロゲンに似た穏やかな作用を持ちます。
研究では、エクオールを摂取した更年期世代の女性のうち、約6割で手指症状の軽減がみられたと報告されています。
なお、日本人でエクオールを体内で作れる方は約50%とされており、体質に関係なく、サプリメントとして直接摂取する方法もあります。
整形外科と産婦人科の連携が大切です
手指の不調を「年齢のせい」と決めつけず、二つの診療科を上手に利用することが改善への近道になります。
・整形外科:
X線や超音波検査で、骨の変形、神経の圧迫、炎症性疾患などを評価します。
・産婦人科:
ホルモンバランスを確認し、HRTや漢方、サプリメントなど全身的な治療を行います。
局所の治療と全身のケアを組み合わせることで、生活の質(QOL)の向上が期待できます。
結び:自分に合った対処法を見つけましょう
手指のしびれや痛みは、仕事や家事、趣味にも影響する大切なサインです。
HRTで楽になる方もいれば、整形外科的治療やエクオールの併用が必要な方もいます。
大切なのは、現在の状態を正しく評価し、納得できる方法を選ぶことです。
「年齢のせい」と我慢せず、専門医に相談しながら、自分に合ったケアを見つけていきましょう。


