子宮の教科書 第五十七話
心と密接にかかわるPMSも!
ふつうのPMSではなく、メンタル症状の強い重症のPMS(PMDD)である場合もあります。それによって治療や対応も変わってきます。
「私、PMSなんです」と相談にいらっしゃる方によくよくお話を聞くと、もともとメンタルに問題があり、すでに鬱状態だったり、あるいは不安障害だったりすることがあります。すると、当然生理前もその症状がひどくなるものなのです。
つまり、生理前に症状がひどい、生理が来てもひどい、終わったあともやはり症状はひどいけれど、比較してみればとくに生理まえがひどい、ということ。
生理が来たとたんにすっかり症状がよくなってしまうふつうのPMSとは違い、症状が重い方は、まず心療内科や精神科でちゃんと診てもらう必要があります。
また、PMSの症状が強くなかった方が、急に重くなることもあります。
そういう方に、症状が強くなった時期の少し前に、何か大きな生活の変化がなかったかどうか尋ねると、職場や仕事内容が変わっていたり、人間関係で大きな変化があったりすることがあります。たとえば上司や同僚ともめていることがあったり、家庭がうまくいっていなかったりなど、何かしらのトラブルを抱えていることから、症状が出るケースです。
こうした精神的な病気や問題に、当然痛み止めは効きません。
漢方薬や抗不安薬、場合によっては抗うつ薬の一部などを使ったほうが、よく効くこともあります。
この時代を生きる30~40代の女性は、かなりの頻度で転職していることも多く、それをきっかけに調子が悪くなる方もたくさんいます。
「新しい会社に移ったばかりだし、忙しいけど頑張んなきゃ」と、気力で乗り切ろうとしても、本人の思いや気合とは裏腹に、身体は悲鳴をあげています。
その「私、もういっぱいいっぱい!」という身体からのSOSが生理痛やPMS、生理不順につながっていることを理解してください。
著者:宗田 聡医師(広尾レディース院長)
引用:31歳からの子宮の教科書(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)