子宮の教科書 第二十話
女性ホルモンは子どもをつくるサイクルを維持するためのもの!
最近
「ホルモンがおかしくなるから、身体がおかしくなる」
「生理が来ないのはホルモンの異常があったからだ!」
というふうに思う人が非常に多いのですが、これは勘違いです。
ホルモンが先におかしくなり、その後身体を崩すということはありません。
ホルモンとは、身体のサイクルを維持するためのものです。
なかでも女性ホルモンは、排卵をさせるためのもの、つまり子どもをつくるためのものです。
我々は生きものであり、子孫を残すということが大前提です。
その大前提に従えば、20~40代の女性の生きものとしての一番の目的は、「子どもをつくること」です。
これは人間の本能ですから仕方がありません。
生理とはその目的のために、毎月起きるもので、今回は子どもができなかったという証のようなものです。
子宮内膜をバーンとリセットし、次の子づくりに備えます。
身体を大きな宇宙船にたとえて考えてみましょう。
宇宙船には生命維持装置と、もう1つは宇宙を研究するための装置が付いています。
宇宙船がふだん何の問題もなく動いていれば、宇宙の研究をメインにして飛んでいればよいのですが、
急に隕石がぶつかった、太陽エネルギー盤板がなくなったなどという事故が起きたら、悠長に研究をしている暇はありません。
研究装置をシャットダウンして、すべての研究をやめて、全エネルギーを生命持続装置に注ぎこまなければなりません。
これと同じで、体調が悪かったり、不摂生な生活や仕事が忙しいなどの子づくりに適さない環境にいるときには、身体はまず自分を守るために、子づくりをつくるシステムを止めます。
正しくは、
ダイエットやスポーツ、ストレス、食生活の乱れ等で身体を酷使
↓
身体が異常を感じる
↓
ホルモンのバランスが崩れる
↓
子どもをつくる機能より、身体の健康を優先する機能が作動
↓
女性ホルモンの分泌が少なくなる
↓
排卵・生理が止まる
という流れになります。身体に何も起きていないのにホルモンバランスが崩れることはありません。
「ストレス」や「ホルモン」という言葉は、非常に曖昧模糊としているにもかかわらず、「ホルモンバランスがおかしくて…」などといわれると、何となくみんなが納得してしまいます。それは、医師も含めてです。
けれども、「何のホルモンが、どういうふうに身体を悪くするの?」という質問をしたら、誰も答えられません。
なぜなら、本来、そのようなホルモンの問題がないからです。
女性ホルモンがまったくなくなるから、身体の調子が悪くなる、ということはありません。
60~70歳の女性には、もう女性ホルモンはないはずですよね?
けれども、たとえ女性ホルモンがなくても、60歳で元気でアクティブな方はいっぱいいます。
著者:宗田 聡医師(広尾レディース院長)
引用:31歳からの子宮の教科書(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)