【動悸・めまい・多汗】更年期?それとも甲状腺?
- レディース 広尾
- 7 時間前
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見極めるための血液検査の重要性
40代以降の働く女性を襲う不調、内科と婦人科の連携が解決のカギ
はじめに
40代半ばを過ぎた頃から、
「急に胸がドキドキする」
「顔だけが異常に汗をかく」
「めまいで仕事に集中できない」
といった不調に悩まされる女性は少なくありません。
多くの方は「いよいよ更年期かしら?」と感じますが、その背景に甲状腺疾患が関与している可能性もあります。
更年期障害と甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)は、症状がよく似ています。
産業医として働く女性の健康相談を行う際にも、この二つを見極めることは重要なポイントです。
本記事では、後悔しないためのチェックポイントと、血液検査による診断の考え方について解説します。
1.更年期と甲状腺:似て非なる二つの病態
40代以降の女性において、動悸や多汗は「更年期」を連想させる症状ですが、甲状腺の病気も女性に多い疾患です。
更年期障害
閉経前後の約10年間に、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく変動・低下することで、自律神経が乱れて起こります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
首にある甲状腺からホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が過度に活発になる病気です。
日本甲状腺学会の統計では、バセドウ病の男女比はおよそ1:5〜6で、女性に多く、20代〜50代の幅広い年代にみられます。一方、更年期障害は、日本人女性の約25〜30%が日常生活に支障をきたす症状を経験すると報告されています。
どちらも、働く世代の女性にとって身近な疾患といえます。
2.なぜ症状が似ているのでしょうか
更年期障害と甲状腺疾患は、いずれもホルモンバランスの変化が関係するため、現れる症状が似通います。
共通しやすい症状
動悸、多汗
イライラ、不眠
疲れやすさ
月経周期の乱れ
参考になる特徴として、次のような違いが挙げられます。
更年期の特徴
症状に波がある
のぼせ(ホットフラッシュ)が目立つことが多い
甲状腺機能亢進症の特徴
常に脈が速い(頻脈)
食欲があるのに体重が減る
手指が細かく震える
米国内分泌学会(Endocrine Society)のガイドラインでも、更年期世代の女性が多汗や心拍数増加を訴える場合、甲状腺機能の評価を考慮することが推奨されています。
3.診断の決め手は「血液検査」
「どちらなのか分からない」と悩む必要はありません。
血液検査を行えば、客観的に区別することが可能です。
検査項目 | 更年期障害 | 甲状腺機能亢進症 |
エストラジオール(E2) | 低下 | 変化なし |
FSH | 著しく上昇 | 変化なし |
TSH | 正常 | 著しく低下 |
FT4・FT3 | 正常 | 上昇 |
産婦人科ではFSHやE2を測定して更年期の評価を行いますが、内科的視点を持つ医師であれば、TSHやFT4も同時に測定し、甲状腺異常がないかを確認します。
4.それぞれの治療アプローチ
診断がつけば、適切な治療によって多くの場合、症状の軽減が期待できます。
更年期障害
・ホルモン補充療法(HRT)
・漢方薬による体調調整
甲状腺機能亢進症
・抗甲状腺薬による薬物療法
いずれも、自己判断ではなく、診断に基づいた治療が重要です。
5.生活習慣で気をつけたいポイント
ストレス管理:強いストレスは症状を悪化させる要因になります
ヨウ素の過剰摂取に注意:甲状腺疾患がある場合、海藻類の過剰摂取が影響することがあります
質の良い睡眠:ホルモン分泌の安定に役立ちます
6.受診を検討したいサイン
次のような場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
安静にしていても脈拍が1分間に100回を超える
手指が細かく震え、字が書きにくい
急激な体重減少や食欲の変化がある
月経不順とともに、ほてりや不眠が強い
受診先としては、まず婦人科に相談する方法が考えられます。
婦人科でホルモン検査と甲状腺検査を同時に行うことで、必要に応じて内分泌内科へスムーズにつなぐことが可能です。
結び
動悸やめまい、多汗を「年齢のせい」と思い込まず、血液検査という客観的な方法で体の状態を確認することが大切です。
更年期か、甲状腺か。
正しく見極めることで、適切な治療につながり、日常生活の質(QOL)を取り戻すことができます。
気になる症状が続く場合は、一度専門医に相談してみましょう。


