NIPT検査:新型出生前診断で分かること・分からないこと
- レディース 広尾
- 2025年12月28日
- 読了時間: 3分
はじめに
妊娠がわかると、多くの方が「赤ちゃんは元気に育っているのだろうか」「病気や障害はないのだろうか」と不安を抱きます。こうした中で注目されているのが、NIPT(新型出生前診断)です。日本では2013年から臨床研究として導入され、年々受検者数が増えています。最新のデータでは、認証施設で2023年度に約4.1万人がNIPTを受けており、これは全妊婦の5.6%に相当します。
しかしNIPTは「万能の検査」ではなく、分かることと分からないことが明確に存在します。本記事では、NIPTの仕組み、検査で分かることと分からないこと、検査後の対応について、信頼できるデータをもとに解説します。
NIPTの仕組み
NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、妊婦さんの血液に含まれる胎児由来のDNA断片(セルフリーDNA)を解析する方法です。妊娠10週以降に母体から採血し、次世代シークエンサーで胎児染色体の数的異常を推定します。
NIPTの特徴
・非侵襲的:採血のみで可能なため、羊水検査に比べて流産のリスクがありません
・高精度:特に21トリソミー(ダウン症候群)については感度・特異度が99%以上と報告されています
・早期に受けられる:妊娠10週から検査可能です
ただし、NIPTはあくまで「スクリーニング検査」であり、「診断」ではありません。陽性や陰性の結果が出ても、その後の対応が必要となります。
分かること
日本医学会の指針に基づき、NIPTでわかる主な染色体数的異常は以下の3つです。
・21トリソミー(ダウン症候群):出生児の約700人に1人の頻度
・18トリソミー(エドワーズ症候群):約6,000人に1人
・13トリソミー(パトウ症候群):約10,000〜20,000人に1人
これらはいずれも重度の発達障害や先天異常を伴うため、出生前診断の主要な対象となっています。
また、一部の施設では性染色体異常(ターナー症候群やクラインフェルター症候群など)も検査可能ですが、精度や解釈に難しさがあるため、実施の有無は施設ごとに異なります。
分からないこと
高精度である一方、NIPTでは「分からないこと」も多くあります。
・対象外の疾患:微細な染色体欠失や重複、単一遺伝子疾患(筋ジストロフィーや嚢胞性線維症など)、自閉症や発達障害は検出できません
・偽陽性・偽陰性:陽性でも実際には異常がない(偽陽性)、陰性でもまれに異常がある(偽陰性)ケースがあります。そのため確定診断には羊水検査や絨毛検査が必要です
・母体要因の影響:母体の肥満、胎盤の状態、双胎妊娠では正確な解析が難しく、結果が出ない場合もあります
検査後の対応
・陽性の場合:遺伝カウンセリングを受け、羊水検査など確定診断を検討します。妊娠の継続や今後の対応について、家族や医療者と一緒に話し合うことが大切です
・陰性の場合:「陰性だから安心」とは言い切れません。NIPTでは分からない疾患も多いため、通常の妊婦健診や超音波検査は欠かせません
・遺伝カウンセリングの役割:検査を受ける前後に、妊婦さんとご家族が結果の意味や心理的影響を理解し、納得して選択できるよう支援するものです
婦人科受診の目安
NIPTを検討する場合は、必ず婦人科または臨床遺伝専門医に相談してください。日本医学会が認定した実施施設では、遺伝カウンセリングと検査がセットで提供されています。不安や疑問があるときは一人で抱え込まず、専門家と一緒に考えることが大切です。
まとめ
・NIPTは妊婦さんの血液から胎児の染色体異常を推定するスクリーニング検査です
・主に21・18・13トリソミーが対象であり、必要に応じて性染色体異常も調べられます
・一方で、NIPTでは検出できない疾患も多く、確定診断には羊水検査が必要です
・検査を受ける前後には遺伝カウンセリングが推奨されており、検査結果を正しく理解することが重要です
NIPTは「赤ちゃんの健康を確認する万能の検査」ではなく、「限界のあるスクリーニング検査」です。その特性を理解して受けることで、不安を減らし、より納得して妊娠生活を送ることにつながります。


