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宗田聡のやさしい産婦人科ブログ

女性の職場健康:テレワーク時代の体調不良対策

  • 執筆者の写真: レディース 広尾
    レディース 広尾
  • 2025年12月19日
  • 読了時間: 4分

はじめに

新型コロナウイルスの流行を契機に、日本でも一気に広まったテレワーク。通勤の負担が減り、柔軟な働き方が可能になった一方で、健康面では新たな課題も見えてきました。特に女性は、月経やホルモン変化、更年期といった要因に加え、仕事と家庭を両立する負担が重なりやすく、不調を訴える方が少なくありません。


厚生労働省の調査でも、テレワーク経験者の約4割が心身の不調を感じたと報告しており【厚生労働省調査】、職場と家庭の双方で健康を守る視点が必要とされています。


1. テレワークと健康課題

オフィス勤務と比べてテレワークでは身体を動かす機会が減り、生活リズムが乱れやすくなります。また、同僚や上司との交流が減ることで孤独感を抱きやすく、メンタルヘルスにも影響を与えます。女性の場合、こうした生活環境の変化が月経不順やPMS(月経前症候群)の悪化、更年期症状の増強といった形で表れやすいことが報告されています。

厚労省の「テレワークと健康管理に関する調査」では、女性の約3割が肩こりや腰痛を訴え、約2割が睡眠障害を経験したとされています。国立成育医療研究センターの報告でも、長期的なストレスが月経不順やホルモンバランスの乱れにつながることが示されています。つまり、テレワークは便利で効率的である一方で、女性特有の健康課題を悪化させる可能性があるのです。


2. 体調不良の背景

テレワークによる体調不良には、身体的要因と精神的要因が複雑に絡み合っています。長時間同じ姿勢で座り続けることは腰痛や肩こり、頭痛の原因となり、運動不足は血流の停滞を招き、冷えやむくみを悪化させます。また、パソコンやスマートフォンを長時間見続けることによる眼精疲労も見逃せません。

精神的な側面では、孤独感や疎外感を抱く人が多く、常に仕事モードが続いてオン・オフの切り替えができないことも問題です。さらに、育児や家事と同時進行で仕事を担う女性では、心身への負担がより強くなりがちです。これらが重なり、月経周期の乱れや更年期症状の悪化につながるケースも少なくありません。


3. 自宅でできるセルフケア

テレワーク中でも取り入れられる工夫は多くあります。まず、1時間に一度は立ち上がり、ストレッチや軽い歩行で血流を改善することが大切です。腰や背中を支えるクッションを使い、モニターの高さを調整するだけでも、肩や腰への負担は軽減されます。

睡眠の質を高めるには、就業時間をあらかじめ決めてオン・オフを切り替えることが有効です。就寝前にはスマホやPCの使用を控え、読書や音楽などでリラックスする習慣を取り入れるとよいでしょう。寝室環境を快適に整えることも重要で、温度や照明を工夫するだけで眠りやすさが変わります。

食事面では、鉄分、カルシウム、ビタミンDといった女性に不足しやすい栄養素を意識し、間食にはナッツや果物を選ぶと健康的です。カフェインやアルコールを控えめにすることも、不調予防に役立ちます。

さらに、孤独感やストレスを和らげるためには、オンラインで同僚や友人と交流したり、日記やアプリで気分や月経周期を記録して自己管理に役立てるのも効果的です。


4. 企業に求められる取り組み

テレワーク下で女性の健康を守るためには、個人の工夫だけでなく、企業側の支援も欠かせません。厚生労働省は「健康経営」を推進しており、従業員の心身の健康を守ることを企業の責任としています。オンラインでの健康相談窓口の設置や、勤務時間の柔軟化、十分な休憩時間の確保は有効な対策です。

また、月経や妊娠、更年期といった女性特有の健康課題に関する啓発セミナーを行い、職場全体で理解を深めることも重要です。職場文化として「休みやすい雰囲気」を作ることや、女性社員同士で情報交換できる場を設けることも、長期的には健康維持につながります。テレワークが進む時代だからこそ、企業と個人が一緒に健康を守る仕組みを構築することが求められています。

婦人科受診の目安

テレワークを始めてから月経不順やPMSが悪化したと感じる場合や、更年期症状が強まり日常生活に支障をきたしている場合には、早めに婦人科を受診することをおすすめします。特に、強い頭痛や過多月経、周期的に繰り返す体調不良が続くときは、自己判断せず医師に相談することが大切です。婦人科ではホルモン状態の確認や必要に応じた薬物療法が行われるだけでなく、生活改善の具体的なアドバイスも受けられます。


まとめ

テレワークは効率的で柔軟な働き方を可能にする一方で、運動不足や姿勢の乱れ、孤独感、ホルモンバランスの変化など、女性特有の不調を引き起こす要因にもなります。自宅でできるセルフケアや生活習慣の工夫は有効ですが、症状が強い場合や長く続く場合には、ためらわず婦人科や産業医に相談することが大切です。個人の努力と企業の取り組みが組み合わさることで、安心して働き続けられる環境が整い、健康で充実した毎日につながります。

 
 
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