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宗田聡のやさしい産婦人科ブログ

妊娠初期:妊娠検査薬の正しい使い方と受診のタイミング

  • 執筆者の写真: レディース 広尾
    レディース 広尾
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

はじめに

妊活中や「もしかして妊娠したかも」と思ったとき、多くの女性が最初に手に取るのが妊娠検査薬です。薬局で手軽に購入でき、早期に妊娠の可能性を知ることができる便利な道具ですが、正しい使い方や受診のタイミングを理解していないと、不安や誤解を招くことがあります。この記事では、妊娠検査薬の仕組みから適切な使用方法、陽性反応後の受診の流れや注意点について、専門医の視点から解説します。


1.妊娠検査薬の仕組み

妊娠検査薬は、尿に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを調べることで妊娠の有無を確認します。hCGは受精卵が子宮内膜に着床すると胎盤のもとになる絨毛組織から分泌され、着床後およそ7〜10日目から尿中で検出できるようになります。妊娠初期には急激に分泌量が増加し、妊娠9〜10週頃にピークを迎えることが知られています。

厚生労働省の情報では、市販の妊娠検査薬は正しく使用すれば約99%以上の精度で妊娠を判定できるとされています。ただし、あまりにも早い時期に検査すると、正確な結果が出ないことがあります。


2. 使用の適切なタイミング

一般的な妊娠検査薬は「生理予定日の1週間後から使用可能」と記載されています。これは、その頃になると尿中のhCG濃度が十分に高まり、陽性反応が出やすくなるためです。一方で、一部には「生理予定日から使用できる」早期妊娠検査薬もあります。ただしこの段階ではhCGがまだ十分に増えていないことが多く、陰性と出ても妊娠している可能性が残る、いわゆる偽陰性が起こり得ます。

検査の際には、最も濃縮された朝一番の尿を使うと、正しい判定が出やすいとされています。


3.陽性反応が出た後の流れ

妊娠検査薬で陽性が出ても、その段階で妊娠が確定するわけではありません。妊娠の最終的な診断は、超音波検査で胎嚢(赤ちゃんの袋)が子宮内に確認できて初めて行われます。胎嚢が見えるのは妊娠4〜5週(生理予定日から1〜2週間後)頃であり、心拍が確認できるのは妊娠6〜7週頃です。

そのため、陽性反応が出た場合には、生理予定日から2週間以内を目安に産婦人科を受診することが推奨されます【国立成育医療研究センター】。特に、下腹部の強い痛みや出血がある場合、過去に子宮外妊娠の既往がある場合、あるいは強い吐き気や体調不良が続く場合には、できるだけ早く受診する必要があります。

子宮外妊娠は妊娠全体の約2%に発生するとされ、放置すると命に関わる危険もあるため、早期発見が極めて重要です【日本産科婦人科学会】。


4.妊娠検査薬を使うときの注意点

妊娠検査薬は便利で高精度なツールですが、結果を正しく理解することが大切です。陽性反応が出ても、それが必ずしも正常な子宮内妊娠を意味するわけではありません。ごく早期に起こる化学流産や、子宮外妊娠でも陽性反応が出ることがあります。

また、陰性と出ても妊娠の可能性が残る場合もあります。検査の時期が早すぎたり、尿が薄かったりすると偽陰性が生じるため、生理が1週間以上遅れているときは再検査や受診が望ましいでしょう。さらに、不妊治療でhCG注射を使っている方は、偽陽性が出ることがあるため注意が必要です。


まとめ

妊娠検査薬は、尿中のhCGを調べることで妊娠の可能性を早期に知ることができる便利な検査薬であり、正しく使用すれば精度は約99%以上とされています。使用の目安は生理予定日の1週間後以降であり、陽性反応が出た場合には妊娠5〜6週のタイミングで産婦人科を受診することが大切です。痛みや出血といった症状があるときは早期受診が必要で、陰性でも妊娠の可能性は残るため注意が必要です。

妊娠初期は赤ちゃんの成長にとって非常に重要な時期です。検査薬はセルフチェックのための有効な道具ですが、確定診断は必ず医師によって行われるべきものです。不安を感じたときは一人で悩まず、早めに専門医に相談することが安心につながります。



 
 
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