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宗田聡のやさしい産婦人科ブログ

妊活と不妊治療:基礎体温だけに頼らない最新の妊娠サポート法

  • 執筆者の写真: レディース 広尾
    レディース 広尾
  • 4 時間前
  • 読了時間: 3分

はじめに

「そろそろ妊活を始めたい」「なかなか妊娠できないけれど、どうすればよいのだろう」——そんな不安を抱えるカップルは少なくありません。妊活を始めると多くの方が基礎体温を測定します。基礎体温は排卵の有無を知る手がかりになりますが、それだけでは妊娠の成立を正確に予測するのは難しいのが実情です。この記事では、妊娠の仕組み、基礎体温の役割と限界、不妊治療の新しい選択肢、さらに生活習慣の工夫について最新のエビデンスをもとに解説します。


妊活の基本

妊娠は、卵子と精子が出会い受精し、子宮に着床してはじめて成立します。卵子の寿命は約24時間、精子は女性の体内で3〜5日間生存できるため、排卵の数日前から排卵日にかけての性交が最も妊娠に適しています。


厚生労働省の定義によれば、避妊をせず1年以上妊娠しない場合を「不妊」と呼びます。年齢によって妊娠率は大きく変化し、女性では35歳を過ぎると妊娠率が徐々に低下し、40歳を超えると急激に下がることがわかっています。


基礎体温の役割と限界

基礎体温とは?

基礎体温は、朝目覚めた直後の安静時に測る体温です。排卵前は低温期、排卵後は黄体ホルモンの影響で高温期となり、二相性のパターンを示します。


基礎体温でわかること

  • 排卵が起きているかの目安

  • 黄体機能不全の可能性

  • 妊娠の兆候(高温期が持続する場合)


基礎体温の限界

  • 睡眠不足や体調の変化に左右されやすい

  • 二相性が不明瞭な人も少なくない

  • 排卵日を正確に特定することは難しい

慶應義塾大学病院の情報でも、基礎体温は「排卵後にわかる情報」であり、今後の排卵を正確に予測する指標にはならないとされています。


不妊治療の新しい選択肢

タイミング法

超音波検査やホルモン測定により卵胞の大きさや排卵時期を予測する方法です。基礎体温に頼るより正確に「妊娠しやすい日」を把握できます。


人工授精(IUI)

排卵のタイミングに合わせて子宮内に精子を注入する方法で、自然妊娠に近い形です。1回あたりの妊娠率は約7〜10%と報告されています。


体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)

2020年、日本で行われた体外受精は約45万件と世界最多レベルで、移植1回あたりの妊娠率は20〜30%とされています。ただし年齢によって成功率は大きく変わります。


着床前検査(PGT)

受精卵の染色体を調べて移植する方法も研究されていますが、日本では適応が限られ慎重に運用されています。


生活習慣の工夫

体重管理

BMIが18.5未満(やせ)や25以上(肥満)の場合、排卵障害や妊娠率低下と関連します。


栄養

  • 葉酸:妊娠1か月前から摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを70%減らすと報告されています

  • 鉄分・ビタミンD:不足は不妊や流産率増加と関連しています


睡眠とストレス

慢性的な睡眠不足や強いストレスは排卵に悪影響を与えるため、規則正しい生活とリラクゼーションが重要です。


喫煙と飲酒

喫煙は卵巣機能を低下させ閉経を早め、飲酒は排卵障害や不妊リスクを高めることが知られています。


婦人科受診の目安

  • 避妊をせず1年以上妊娠しない場合

  • 月経周期が不規則で排卵が不明確な場合

  • 強い生理痛や子宮内膜症の既往がある場合

こうしたケースでは、早めに婦人科や不妊治療専門クリニックを受診することが望ましいです。


まとめ

  • 妊娠は「排卵と受精のタイミング」が大切

  • 基礎体温は参考になるが排卵日の予測には限界がある

  • 不妊治療にはタイミング法、人工授精、体外受精といった多様な選択肢がある

  • 葉酸摂取や体重管理、禁煙・節酒など生活習慣の改善が妊娠率向上につながる

  • 不安がある場合は、ためらわず婦人科を受診し、医師やカウンセラーと一緒に考えることが大切

 
 
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