妊娠中のワクチン接種:母子の健康を守るために
- レディース 広尾
- 11月10日
- 読了時間: 2分
妊娠中の感染症リスク
妊娠中は免疫の働きが変化し、感染症にかかりやすくなります。特に風疹や麻疹は妊婦や胎児に重い影響を及ぼすため、予防接種が重要です。また近年は新型コロナワクチンについても妊娠中の接種が推奨されています。
風疹ワクチン
風疹の危険性
妊娠初期の感染で先天性風疹症候群(CRS)のリスク
2012~2013年の流行では日本で45例の先天性風疹症候群が報告
20~40代女性の抗体保有率は約80%にとどまる
男性は40代以上で70%以下と低い
対策:
妊娠を希望する女性とその配偶者は、妊娠前に風疹ワクチン(MRワクチン)を接種
妊娠中は生ワクチンは接種できないため、事前の対策が重要
夫婦での抗体確認と必要に応じたワクチン接種
麻疹ワクチン
リスク:妊婦が麻疹にかかると重症化しやすく、肺炎や早産のリスクが高まる
統計:麻疹流行時には妊婦の入院率が非妊婦の約2倍に上昇
抗体保有率:20代では90%を下回る層があり注意が必要
対策:妊娠を計画している女性は、妊娠前にMRワクチンを接種
新型コロナワクチン
妊婦への感染リスク
妊婦が新型コロナに感染すると、非妊婦に比べて重症化率が約2倍
ICU入院率は約3倍に上昇
早産率も増加する
(米CDC 2021)
ワクチンの安全性:
ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンについて、妊婦数万人を対象とした研究で安全性を確認
流産率や先天異常の発生率は非接種群と差がない(NEJM 2021)
日本産科婦人科学会も「妊婦へのワクチン接種は推奨され、安全性に問題はない」と結論
特に妊娠20週以降の接種が積極的に勧められている
ワクチン接種の基本原則
妊娠中に接種できないもの:生ワクチン(風疹・麻疹)
妊娠中でも接種できるもの:不活化ワクチンやmRNAワクチン(新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン)
基本方針:感染症から母体と胎児を守るため、夫婦での抗体確認と適切なタイミングでのワクチン接種が最も効果的
婦人科受診の目安
妊娠を希望しているがワクチン接種歴が不明
抗体検査で陰性または不十分と判明した
妊娠中に感染症流行地域への外出や渡航を予定している


