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子宮の教科書 第七十二話

高齢出産は、自分の身体が危なくなる!


40歳の出産は、母体が非常に危険な状態になりやすいので、文字通り「命がけ」といってもよいでしょう。

高齢で妊娠を継続するのも大変ですが、出産するのも非常に困難です。上手くいったことは大きな声で公表するので、あちこちのマスコミやテレビで高齢出産の成功例が流れますが、失敗したことは表に出さないので、一般の方が知る機会は極端に少なくなります。

今でこそ、医学も進んだことから、出産の処置にあたり、そう簡単には母体が亡くなったりしませんが、一昔前は、出産でなくなる方は山ほどいらっしゃいました。日本は世界で一番母児に安全な国で、アメリカですら日本8倍ほど母体死亡が多いのです。

テレビドラマやマンガでも、大家族のお母さんだけがいないという設定がよくあります。末っ子に「小さいおまえを産んだあと、体調が悪くて母さんは死んだんだよ」と説明するシーンは、何かしらで見たことがあるのではないでしょうか。

本来40代の女性の身体は、子どもを産むのにベストな状態ではありません。

身体を40年も使ってきているのですから、車でいえばクラシックカーのようなものだからです。

クラシックカーなのに、新車の六気筒、V6エンジンのようなものをドカンと乗せたら、大変なことになります。そのように考えていただければいいでしょう。

妊娠時、お腹に赤ちゃんができると、身体を流れる血液の量は1.5倍に増えます。若ければ新車のパイプやゴムの部分がまだ新品であるように、血管がまだ柔軟なので問題なく対応できるでしょう。

けれども高齢になると、クラッシックカーの部品のゴムが硬くなったりひび割れていたりするのと同じように、血管も弱ってきたり、切れたり、破損したりすることがあるか三もしれません。出産の際に、血管の破裂や脳梗塞、心筋梗塞を併発することもあります。また、血圧が上がった一り、中毒症(妊娠時高血圧症候群)で亡くなったりすることもあるのです。


著者:宗田 聡医師(広尾レディース院長)

引用:31歳からの子宮の教科書(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)


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